東洋大学生命科学部生物資源学科(2024年度~)
東洋大学大学院生命科学研究科生命科学専攻
極限環境生命科学(伊藤政博)研究室

極限環境生命科学研究室とは?
極限環境とは、私達が『とても生物は生きていけないだろう!?』と思う過酷な環境です。しかし、このような環境にも(微)生物が生息しています。
なぜ、そのような過酷な環境に生命は生きているのでしょうか?
それは、地球の歴史を遡らなくてはなりません。地球が誕生して46億年、地球上に最初の生命が誕生して38億年といわれています。この長い時間の中で、私たちの住む“地球”は、現在のような“穏やかな”環境であったわけではありません。地球全体が氷河におおわれる全球凍結(Snowball earth)、巨大噴火“スーパープルーム”や隕石落下による生命の大量絶滅など、地球上の生命たちは何度も絶滅のふちを漂いました。
地球上の生命たちは、地球が与える“試練”=“過酷な環境”に適応して進化を遂げたのだと考えられます。そんな環境で“極限環境生物”は、誕生したのです。
“極限環境生物”は、私達が持っていない“特殊能力”を備えています。例えば、“100℃を超える温度が大好き!”、“放射線に曝されても平気!”、“強アルカリ性環境が好き!”“塩漬けにされても平気!”などです。
極限環境生命科学研究室では、
➀極限環境微生物がどのような“特殊能力”をもっているのか?
➁その能力は、どのようなメカニズムによるものなのか?
③その能力を私たちの生活に役立てることはできないか?
をテーマに日々研究を行っています。
過酷な環境に暮す極限環境微生物を研究し、その巧みな生存戦略を解き明かし、我々の社会に役立てます。
研究キーワード
(大黄な括り)極限環境微生物、理科教育
(中括り)好アルカリ性細菌、共生微生物、好熱性細菌、好塩性細菌、高濃度セシウム耐性菌、アウトリーチ活動、SDGs貢献
(細かな括り)バイオリファイナリー、酵素阻害剤の探索、セシウム耐性メカニズムの解明とその社会的実装、高アルカリ環境適応メカニズム、Na+/H+アンチポーター、SDGs、持続可能な社会のために、3Dプリンター、べん毛モーター(ナノマシン)、
2021年4月より東洋大学重点研究プログラム・バイオレジリエンス研究プロジェクトのプロジェクトリーダーに就任しました。
2020年4月より2021年度東洋大学重点研究プログラムに採択された研究課題「極限環境微生物の先端科学をSDGs達成のために社会実装する研究」が基盤となりバイオレジリエンス研究プロジェクトが発足しました。東洋大学の特徴の一つとして過酷な極限環境でも生育可能で新たな生物資源として注目される極限環境微生物(Extremophiles)研究に強みがあることが挙げられます。当センターでは、我々の強みである極限環境微生物研究の先端科学と知見を社会に還元しSDGsが掲げる目標に貢献することを目指します。
2024年4月1日~
東洋大学のバイオレジリエンス研究プロジェクトは、第2期 「極限環境微生物で循環型社会を実現し、生活環境を豊かに!~TOYO SDGsGlobal2024-2030-2037~」として新たな3年間の挑戦を迎えます。第1期(2021年度から2023年度)の実績を踏まえ、私たちの目指す未来、それは極限環境微生物の力を借りて循環型社会を実現し、豊かな生活環境を創造することです。この目標を掲げ、2024年度から2027年度にかけて、研究と社会実装の両面で飛躍的な進展を遂げるべく、全力を尽くします。
本年4月より、東洋大学の生命科学部と食環境科学部の2学部および理工学部の生体医工学科が朝霞キャンパスに移転し、研究環境が益々整いました。このような環境の中で、私たちのバイオレジリエンス研究プロジェクトの研究活動がより一層活発になることが期待されています。
本プロジェクトは、極限環境微生物の持つ多様な可能性を探求し、SDGs達成に向けた技術革新を推進します。環境負荷の低減、カーボンニュートラルな技術の確立、新たな生物資源の活用、そして地域産業の活性化を通じて、私たちは持続可能な未来を築く一翼を担います。特に、企業や国内外の研究機関との連携を強化し、実用化に向けた研究開発を加速させます。
この3年間で、私たちは国際共同研究や国内共同研究の推進、外部資金の獲得を目指し、研究成果の積極的な発信も図ります。また、若手研究者の育成にも注力し、ポスドク、RAの雇用を通じて、この分野の次世代の研究リーダーを育てます。
私たちの研究は、東洋大学の重点研究戦略方針に基づき、先進的な極限環境微生物分野の研究、SDGs達成への貢献、そして大学ブランドの強化に直結しています。極限環境微生物の研究を中心に据えた我々バイオレジリエンス研究プロジェクトが取り組むべき課題は、プラスチック廃棄物問題、二酸化炭素排出削減、海洋汚染防止など、SDGsの目標達成において極めて重要な役割を果たします。
本プロジェクトを通じて、私たちは新たな学術分野を切り拓き、高機能微生物を活用した環境技術の社会実装を推進し、国際的な貢献を果たします。国内外の研究機関や産官学との連携を強化し、異分野融合を図ることで、革新的な研究成果を生み出していきます。また、アントレプレナーシップのプログラムを立ち上げ、若手研究者や大学院生の教育向けプログラムを充実させます。
「洗剤のサイズを10分の1にした男の「波瀾万丈な研究生活」がすごい」
2018年12月30日、講談社ブルーバックスWebに東洋大学生命科学部初代学部長の掘越弘毅先生のことを書いた『洗剤のサイズを10分の1にした男の「波乱万丈な研究生活」がすごい』が掲載されました。
ここで紹介されている掘越弘毅先生は、東洋大学生命科学部を創設し、初代学部長を務められました。
